第3回 構え と 計略

       第3回 構えと計略

 新任の赴任校 隣席には日本史の織田長繁先生。織田信長の弟、織田有楽の直系、今の天皇の結婚式に事務室に招待状「子爵 織田長繁殿」。愛知県の採用試験に合格したのですが、春休みの宿泊事前研修で「あなたの赴任校には織田信長の子孫がいる。コワイぞ」という初老の人の言あり。実際は高潔、優しい人格者でした。

 赴任してしばらくして、社会科研究室で織田先生から「あなたは一国一城の主人になったのですよ」とのお言葉を賜ったのです。織田先生は日本史の城のあるじ。私は政治経済の城の主人との御言葉。

 城の主人ともなれば、領民を知り、安らかに暮らせるよう英断に努めねばなりません。私も経済学徒ケインジアン、生徒さんを失業状態にしない施策は必要と思っていました。

 あなたが教科内容がわかり(これだけでも至難)生徒の示せばいい、と貴君は考えていないかな? やすらかに、実感を持って、生徒さんたちが学習を進められねばなりません。あなたの授業は 自由闊達で秩序ある、自由と規律のある 時間空間でなければなりません。

 

 そのためには 時間の流れとして 出会いの時期を大事にしてください。

 清楚で文化的な空間を創りましょう。

 

 出トチリ 合唱用語ですが 出とちりはいけません。生徒さんの名前をおぼえ(とものり君です ともき ではありません 去年の担任はトモキ トモキ と呼んでいましたが)、それぞれの座席を明示しましょう。(札付きの生徒がいればまわりに、それとなく、聡明な異性を配置しておきましょう)あなたの自己紹介で生徒を心させましょう。生徒さんそれぞれの美点を把握しましょう。フットワーク。体育館でバレー部4番の姿を見ておきましょう。グランドでサッカー部背番号10のループシュートみておきましょう。授業中寝ていても心から許せるように。黙々と掃除をする子には、わかったよ、と合図しましょう。水曜の図書館のカウンターは彼女の世界。本を借りて一言交わしましょう。教師はフットワーク、憶えておいてください。授業中の瞳の輝きが変わってきます。

 空間設計。緑の黒板を背に、あなたの服装は? 私は白ワイシャツ、長袖をたくしあげ半袖状態。猫背の人はネクタイは赤。真っ白なハンカチで汗を 肝心な時の直後に一度だけふく。 黒板上に十字架とかナチスの旗はいけないでしょう。黒板は重要な要素です。業界用語で板書。

 教育実習での あなたの板書 全部写真で記録しよう。色チョークの使い方までチェック。碑文の趣、構造のある書き方、時系列の明示、主題の提示、一筆加えると認識が変わる伏線記述。しかし その前に「ノート指導」ただ写されては台無し。ノート作りの工夫を意識させよう。ノートの回収は実り多い。それぞれの生徒の思考パターンがわかる。最良の聴き手がみつかる。それ以上にあなたの説明の欠陥が浮かび出る。

 

 時間の設計と空間の設計 教師の指示と生徒の意識の流れ 両者を総合するのが 学習指導案学習指導案こそ教員養成大学の叡智の結晶。

 完全に書けるのは神様だけ。人間の書く指導案には余白 空白あり。黒澤明の映画脚本には 空白あり。名演技は空白にあり。指導案が最終目標ではありません。授業それ自体が良いかどうかです。